仕事も家事も、人づきあいも「ちゃんとしなければ」。その真面目さは、あなたの強みです。ただ、続くと心が先に疲れてしまいます。結論は、完璧主義はなくすものではなく、ゆるめるもの。この記事では、60点で出す、力の入れどころを選ぶなど、今日から試せる5つの習慣を、言い回しの例つきで紹介します。
1. 完璧を目指す気持ちと、疲れの関係
完璧にやりたいという気持ちは、責任感や丁寧さの表れです。悪いものではありません。問題は、その基準を、すべてのことに同じ強さで当てはめてしまうことです。
1-1. 完璧主義の人がよく感じていること
- 小さなミスを、何日も思い返してしまう
- 人に頼むより、自分でやったほうが安心だと感じる
- うまくできる自信がないと、始められない
- 休んでいても、やり残しが頭から離れない
いくつか当てはまる方は少なくありません。それは性格の欠点ではなく、頑張り続けてきた証でもあります。
完璧主義という言葉を、自分を否定する意味で使う必要はありません。「質を大切にする人」と言い換えてみると、同じ性格でも見え方が変わります。大切なのは、その性質を自分で操作できる感覚を持つことです。
1-2. 「ゆるめる」と「手を抜く」は違う
ゆるめるとは、大切なところの質は保ったまま、そうでないところの力を抜くことです。全部を雑にするのではなく、力の入れ方に濃淡をつけると考えてください。
たとえば、家族の誕生日の食事は丁寧に、毎日の洗濯物のたたみ方は簡単に。こうして、力の使いどころを選ぶと、疲れが減っても満足感は保てます。
たとえば、帰宅後も仕事のことが頭を離れない、家族の用事の抜けが気になって休めない、といった状態が続くときは、心が緊張したままになっている可能性があります。ゆるめる習慣は、その緊張を少しずつ解く手段です。
1-3. 疲れがたまりやすい人の共通点
人に頼ることが苦手で、「自分がやらなければ」と思う人ほど、疲れが溜まりやすい傾向があります。気持ちの面でも、自分に厳しい言葉をかけ続けていると、心が休まりません。
こうした自己批判のくせについては、自己肯定感を整える方法でも詳しく触れています。
2. 習慣1・2:「60点で出す」と「力の入れどころを選ぶ」
2-1. 習慣1:最初から100点を目指さず、60点で形にする
最初は60点でよい、と決めて形にし、そこから直していくほうが、結果として早く、質も上がります。頭の中で完璧に整えてから動こうとすると、始めるまでに時間がかかり、疲れてしまいます。
たとえば、メールの返信は、書き終えたらすぐ送らず、1回だけ読み返して送る。それ以上は見直さない、と決めておきます。
メールの文面を例にすると、取引先への大事な連絡は丁寧に、社内の簡単な連絡は短く、と分けるだけで、毎日の負担が大きく変わります。家事でも、来客前のリビングは念入りに、普段の寝室は軽くで十分です。
力の入れどころを選ぶ練習は、まず一日の中で「手早く済ませてよいこと」を一つ見つけるところから始めましょう。見つかったら、その分の余力を、自分の休息にまわします。
2-2. 習慣2:重要度で、力の入れ方を三段階に分ける
やることを、次の三つに分けてみましょう。
- 丁寧に行う(人の安全や、大切な約束に関わること)
- ふつうに行う(日常的な家事や仕事)
- 手早く済ませる(やらなくても困らないこと)
全部を1番にしていると、疲れ切ってしまいます。3番に入れられるものを、増やしていきましょう。
終わりの基準は、時間でも、範囲でも、回数でも構いません。「読み返しは1回」「選択肢は3つまで」など、数字を決めると迷いが減ります。決めたことを守れた日は、それだけで成功と考えてよいのです。
2-3. 「終わりの基準」を先に決める
完璧主義の人は、終わりが見えないことが苦しさの原因になりがちです。「この資料は30分で」「掃除は玄関とリビングだけ」と、始める前に終わりの基準を決めておきましょう。
時間がきたら、出来栄えに関わらず終わりにします。この練習を重ねると、「これで十分」と思える感覚が育ちます。
3. 習慣3〜5:失敗の受け止め方、自分への声かけ、人に頼る
失敗を振り返るのは、うまくいかなかった直後でなく、一晩置いてからが効果的です。気持ちが落ち着いてからのほうが、冷静に次の工夫を考えられます。
3-1. 習慣3:失敗を「次の工夫の材料」にする
うまくいかなかったときは、「なぜ自分はだめなのか」ではなく、「次はどうするか」に目を向けます。うまくいかなかった点を一つだけ書き、次に試すことを一つだけ決めます。これで十分です。
あわせて、「できた点」も一つ書いておきましょう。失敗の記録だけが増えると、自信が下がってしまうためです。
声かけの練習としては、寝る前に「今日できたこと」を3つ思い浮かべるのも効果的です。「朝起きられた」「ご飯を作った」など、小さなことで構いません。できなかったことより、できたことに目を向ける時間を、毎日少しだけ持ちましょう。
3-2. 習慣4:友人にかける言葉を、自分にもかける
失敗したのが親しい友人なら、「大丈夫、よくやったよ」と声をかけるでしょう。同じ言葉を、自分にもかけてみてください。心の中の言葉づかいを変えるだけで、気持ちの重さは変わります。
たとえば、「どうしてできないの」ではなく、「今日はここまで頑張った」と言い換えます。最初は照れくさくても、続けると自然になります。
頼むときのひと言の例を挙げます。「ここだけ確認してもらえますか。完璧でなくて大丈夫です」。この一言を添えるだけで、相手も気軽に引き受けやすく、自分も「任せる」ことに慣れていきます。
3-3. 習慣5:人に頼る。そして【ケーススタディ】
頼ることは迷惑ではなく、信頼の表れです。「ここを見てもらえますか」「この部分だけお願いできますか」と、範囲を絞って頼むと、相手も引き受けやすくなります。
以下は、一般的な状況をもとにした想定ケースです。実在の人物ではありません。
資料作りに時間をかけすぎていた30代の会社員(想定)は、「まず60点で見せる」と決めて、途中の段階で同僚に見てもらいました。
早い段階で助言をもらえたため、大きな修正が減り、最終的には時間が短くなり、仕上がりも整ったという流れです。完璧に仕上げてから見せるより、途中で相談するほうが結果的に楽になる場面は多いと感じる人もいます。
誰かに話を聞いてもらいたいときは、相談相手の見つけ方が参考になります。
4. 避けたい考え方と、続けるためのヒント
4-1. 避けるべきNG行動チェックリスト
- 小さなミスを、何日も引きずって自分を責める
- 他人と自分を比べて、厳しい評価をする
- 完璧にできるまで、手をつけずに先延ばしする
- 休むことに、罪悪感を持ち続ける
- 頼れる場面でも、一人で抱え込む
- 習慣を一度に5つ始めて、全部続かなくなる
5つの習慣は、全部を同時に始める必要はありません。まず一つだけ選んでください。
習慣を続けるために、小さな「ごほうび」を用意するのもよい方法です。60点で出せた日は、好きな飲み物を一杯。ごほうびがあると、ゆるめることを「楽しい経験」として覚えられます。
4-2. 続かなかった日を責めない
習慣は、何度か中断するのが当たり前です。続かなかった日があったら、「また今日から」と戻ればよいのです。完璧に続けようとすること自体が、完璧主義の罠です。
1週間のうち、4日できたら合格、くらいの基準にしておくと、気持ちが軽くなります。
また、周りの人に自分の頑張りを話すことも、気持ちの整理になります。完璧でない自分を見せても、信頼が損なわれることは少なく、むしろ親しみを持たれることもあります。まず身近な安心できる相手から、試してみてください。
4-3. 心の疲れが長く続くときは
気分の落ち込み、眠れない、何をしても楽しめない状態が続くときは、習慣の工夫だけで解決しようとせず、医師や自治体の相談窓口に相談してください。本記事は診断や治療を行うものではありません。
家庭の中で気持ちを分かち合う相手がいないと感じる方は、家庭内で孤独を感じるときも読んでみてください。
・完璧を目指す気持ちは強み。なくさず、ゆるめる
・60点で形にして、直しながら整える
・やることを三段階に分け、力の入れどころを選ぶ
・失敗は次の工夫の材料。友人にかける言葉を自分にも
・範囲を絞って頼る。つらさが続くときは医師などに相談
よくある質問(FAQ)
Q1. 60点で出すと、手を抜いていると思われないでしょうか?
60点で形にするとは、「途中の段階で見せる」ことを指し、最終的な品質を下げるという意味ではありません。「まず叩き台です」と一言添えれば、意図は伝わります。最終的な仕上げには、助言も反映できます。
Q2. 頭では分かっていても、ミスを引きずってしまうときはどうすればよいですか?
引きずること自体は、真面目な人によくあります。気持ちを書き出して「次に試すこと」を一つ決め、その後は意識的に別のことに切り替えましょう。それでも苦しさが続くときは、医師や相談窓口を頼ってください。
Q3. 人に頼るのが苦手で、頼み方が分からないのですが、どうしたらよいでしょうか?
範囲を絞って、具体的に頼むのがコツです。「この部分だけ見てもらえますか」のように、期限と内容を添えます。引き受けてもらえたら、必ず「助かりました」とお礼を伝えると、次も頼みやすくなります。
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